ゴーシュは町の活動写真館の楽団「金星音楽団」で、セロ(チェロ)を
弾く係でしたが、ゴーシュは楽団のなかでいちばん演奏が下手で
いつもみんなの足を引っ張り楽長に怒られてばかりいました。
そんなゴーシュが夜毎、セロの練習をしていると
彼のもとに、様々な動物が訪れます。
猫、かっこう、狸、ねずみ......。
そして音楽会本番。
果たしてゴーシュの演奏は...? 練習の成果は......??
(宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」)
宮沢賢治(みやざわ・けんじ)
1896(明治29)年8月27日生~1933(昭和8)年9月21日没。岩手県花巻生まれ。ふるさと岩手を心象風景の理想郷"イーハトーブ"と呼ぶなど、独特な感性と自然観で捉えた作品を多数遺す。農業指導・研究家として活動し、教職を務めた後、「羅須地人会」を設立。農民生活向上のため粉骨砕身するが肺結核に倒れ、世を去った。死後、彼の創作は高い評価を受け、国民的作家となる。天体や鉱石に深い造詣を持つなど、その世界は現在でも研究され、多くの人に親しまれている。代表作『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『注文の多い料理店』、詩集『春と修羅』など。