◇『ツェねずみ』
古い家の天井裏に「ツェ」という名前のねずみが住んでいました。
「ツェ」ねずみは、何か嫌なことがあると、すぐに誰か人のせいにして、
「まどうてください(弁償してください)」と誰かれかまわず迫ります。
そのため、だんだん友達が少なくなってしまいます。当然です。
自己チューな「ツェ」ねずみは、この先いったいどうなってしまうのでしょう。
◇『どんぐりと山猫』
ある日の夕方、一郎のもとに一通の葉書が届きます。
送り主は山猫で、その内容は、
「めんどうな裁判をするので、おいで下さい」と、いうものです。
一郎は、栗の木や滝たちに、道を尋ねながら山猫のもとへと向かいます。
一郎は無事、山猫のもとにたどりつけるのでしょうか...?
そして"めんどうな裁判"とはいったい...??
宮沢賢治(みやざわ・けんじ)
1896(明治29)年8月27日生~1933(昭和8)年9月21日没。岩手県花巻生まれ。ふるさと岩手を心象風景の理想郷"イーハトーブ"と呼ぶなど、独特な感性と自然観で捉えた作品を多数遺す。農業指導・研究家として活動し、教職を務めた後、「羅須地人会」を設立。農民生活向上のため粉骨砕身するが肺結核に倒れ、世を去った。死後、彼の創作は高い評価を受け、国民的作家となる。天体や鉱石に深い造詣を持つなど、その世界は現在でも研究され、多くの人に親しまれている。代表作『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『注文の多い料理店』、詩集『春と修羅』など。