警視総監じきじきの依頼で貴婦人の盗まれた
大切な手紙を犯人の手から取り戻すという話である。
手紙が誰に盗まれたのかは分かっている。問題は、手紙が
どこに隠されているのか、ということ。この単純な問題に
世界初の探偵小説の主人公であるデュパンが挑む!
そして、デュパンは話を聞いただけで見事に解決してみせる。
この作品はポーの探偵小説の中でも傑作と言われている。
盗まれた手紙の意外な隠し場所を探り当てるまでの
デュパンの思考と推理をオーディオブックでお楽しみください!
「地図の上でやる字捜しの遊びがある。この遊びの初心者はたいがい、
いちばん細かい字で書いてある名を言って相手を困らせようとする。
けれども玄人は、大きな字で地図の端から端まで広がっているような
名を選ぶのだ。そういう文字は、あまり大きすぎる字で書いてある往来の
看板や貼札と同じように、あまり明瞭すぎるためにかえって人眼につかない。
そしてこの物理的の見落しは、知能が、あまりひどく、あまり明白に
分かりきっていすぎる事がらを気づかずに過すという精神的な
不注意と、ちょうど類似しているものなんだ。」
※ 本作品は発表時の時代背景により、今日の社会では一般的でなく、
不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。しかし作品の
オリジナル性を最大限に尊重し、当時のまま忠実に再現することを優先いたしました。